Go ahead With pain
一体どこで間違えたのだろう?一体どこで傷ついたのだろう?一体何を見るべきだったのだろう?
そう思った所でそれはすでに過去の話
Go ahead With pain
貴方の真剣な眼が好きだった。僅かな可能性をも否定しないその前向きさが好きだった。無関心の振りして実は気にかけてくれていた優しさも好きだった。
テメェの強い瞳に惹かれた。そのナリに似合わねぇ行動力に惹かれた。極自然に微笑むテメェに惹かれた。
でも、それはもう過去の話。
貴方のさり気ない優しさなんて、一度疑念を抱いてしまった私には届かない。貴方のさり気ない気遣いなんて、冷静な判断力が欠如してしまった私には届かない。貴方の考えている事がわからない不安が、不安を更に大きくするのが私には耐えられなかった。
テメェの相手を選ばねえ面倒見の良さも、煩わしいと思っちまった。テメェの振り撒く笑顔でさえも、鬱陶しいと思っちまった。テメェが俺を見てねぇと思うのが、そう思うのが堪らなく嫌だった。
いつからだっただろう?明確な言葉がないと不安だと思う様になったのは
いつからだったか?アイツが俺を直視してねぇと思う様になったのは
いつからだっただろう?あの人が私を見ていないと思う様になったのは
いつからだったか?アイツが理解してねぇと思う様になったのは
いつからだった?
お互い擦れ違う様になったのは
はじめは求めあう様に唇を重ねて、肌を重ねて、言葉なんてものはいらなくて。お互いの事を全てわかった気になっていた。一緒に茨を歩いて、お互いに痛みを分けて生きて行くつもりだった。けれど
関係が深くなるにつれ、距離が縮まるにつれ、お互いの事を考えるなんて愚か、自分の事ばかり考える様になっていた。私は貴方が何も言わないから、このままの関係で、確証が足りない曖昧な関係のままで、過ごすつもりだと思っていた。
本当は、何度聞こうと思った事か。
俺はテメェが何も聞いてこねぇからテメェが言う気がねぇもんだと、このままでいいのかと流していた。本当は、聞く用意なんざとっくに出来てたのによ。本当はお互いに、自分の領域に踏み込まれるのに
恐怖を感じていた。知らない、うちに。傷付くのも傷付けられるのも恐れていた。逃げていた。でもそれももう過去の話。
少しずつ刻まれていった傷は、やがて深い深い溝を作り上げた。密やかな、それでいて確実な痛みを伴って。お互いの僅かなズレが、お互いを浸食して。
冷静な判断が出来なくなっていた。解決法さえ弾き出せずにいた。深く深く抉れた溝によって。
私は
俺は
お互い背を向けて歩き出す。
もう少し、きちんとあの人を見ていたら
あと少し、テメェを理解出来ていたら
こんな痛みを抱えたまま生きずに済んだかもしれない。
でもそれは、すでに過去の話
でも、二度と、こんな痛みを生まない様に
貴方に
テメェに
懺悔するかの様に
私は
俺は
それぞれの茨の道を進んで行く。
【バッドエンドなヒルまも】 ピヨ川様に捧げます。